2024年12月26日 19時17分 掲載
第66次南極地域観測隊を乗せた南極観測船「しらせ」は26日、南極大陸につながる氷が海を覆う定着氷の縁に到達しました。今後は約70キロ先の昭和基地への接岸を目指します。
しらせの船首から定着氷を眺める隊員=26日午前、南極海(超広角レンズ使用)
21日に進入した流氷域から出るまで、しらせは苦戦しました。氷に進路をはばまれると、一度後退して勢いをつけて乗り上げ、船体の重さで氷を割る「ラミング航行」を行ったものの、氷の上のぶ厚い雪のせいで重さが十分伝わらず、何度も後退と前進を繰り返しました。船の横にあった大きな氷山が丸一日ほぼ同じ場所に見えていたことも…。
しかし氷の状況が変わり、26日午前4時ごろには流氷のない穏やかな開放水面に到達。その後は順調に進み、午前7時17分、濃紺の海面から白銀の定着氷へ入って行きました。流氷域のでこぼことした氷とは異なり、スケートリンクのようなつるりとした氷が広がっています。厚さは平均約60センチほど。しらせはバリバリと氷を割る音を立てながら進んでいます。
しらせが定着氷に到達し、笑顔を見せる観測隊員=26日午前、南極海
隊員たちは甲板に出て、一面に広がる氷の海をバックに記念撮影したり、望遠鏡で遠くの景色を眺めたりしました。ペンギンの行動調査に携わる同行者の北川達朗さん(29)=総合研究大学院大学、滋賀県彦根市出身=は「一時は到着できるか心配だったが、出港してからの旅路は思ったより短く感じた。南極での調査は楽しみだが、準備をしっかり進めないといけない」と気を引き締めていました。
しらせは12月9日に観測隊員を乗せ、オーストラリア西部のフリマントルを出港。隊員を乗せたヘリコプターの第1便は年内にも昭和基地へ飛ぶ予定です。その後、しらせは氷を砕きながらいよいよ昭和基地へと向かいます。
秋田魁新報(紙の新聞)は購読中ですか
秋田魁新報を定期購読中なら、新聞併読コース(新聞購読料のみ)がお得です。
購読していなくてもウェブコースに登録すると、記事を読むことができます。